ヤツガタケトウヒ を紹介します。

        
       
                                                             ヤツガタケトウヒの芽



絶滅危惧種「ヤツガタケトウヒ」が製材されました。
2008年7月15日


製材に立ち会うためにやってきた(独)森林総合研究所の研究員と製材のプロの目で、ヤツガタケトウヒのどの部分を、木材試験に使う板として製材するか、丹念に確認します。

研究者によれば、木材試験用板として必要な要件は、「元口・末口とも芯を含んでいる」「木口面の最大幅でとる」「アテや腐れを含まない」など。



芯の部分をはずさないよう、印をつけながら、板を取る部分を決めます。



木材の実物を資料として活用するため、輪切りにします。

研究者は「円盤」と呼びます。

チェンソーで切ると、まぶしいほどの白があらわれました。



製材所内に運び込み、帯鋸と呼ばれる大型の製材機で二つに割ります。



一ヶ月前、八ヶ岳のふもとから運ばれてきたヤツガタケトウヒが、板になりました。
森の中での役目を終えて、今度は未来の種のため、新たな役目を担うことになる板です。

製材所の話では「おとなしい木」という印象とのこと。
板は真っ白で、節はほぼ等間隔でした。
森の中に立っている時には想像するしかない木の歴史。こうして板になると、その歴史の一端をうかがい知ることができます。

今後は、半年ほど乾燥させ、木材試験のほかにその特性を生かしたサンプル品を製作予定。
同様の種では、ギターなどに加工されている例があることから、音響関係のサンプル品を模索中だそうです。

絶滅危惧種「ヤツガタケトウヒ」の搬出作業をしました
2008年6月12日

八ヶ岳のふもと。
何らかの自然現象により、生きたまま折れてしまったヤツガタケトウヒの大木。
「なんとかできないだろうか」「希少な樹種のため、標本採集もままならず、資料が不足している」「このまま土に還すこともできるが、採集して今後の研究や、希少樹種への理解を深めるために利用する方法もある」―。
こんな会話を経て、森の座に搬出の業務が依頼されました。
依頼主は、(独)森林総合研究所です。



周囲は、ヤツガタケトウヒの大木など、貴重な種がたくさんあります。

木々や林床の植物を気にかけながらの作業。

見た目よりも、かなりの急斜面です。




難所のひとつ。

この場所から、搬出の目標地点である上方の林道まで、直線距離で100m近く。

ここは、急な斜面のあちらこちらに大きな石、岩があり、搬出を妨げます。

長年、ここで生きてきたヤツガタケトウヒにとって、この故郷をはなれるのは、少し寂しい気持ちだったかもしれません。

でも、ヤツガタケトウヒという種の未来のために、きっと活用しますから。




無事、運び出すことができました。

この緑豊かな八ヶ岳の森を未来につなぐために、搬出されたこのヤツガタケトウヒは、研究資料として、また生かされる予定です。


ヤツガタケトウヒは、こんな樹形をしています。

ヤツガタケトウヒは、マツ科トウヒ属の常緑針葉樹。
八ヶ岳東部から南アルプス北西部にかけての限られた地域に細々と分布しているそうです。
まっすぐ天に向かって伸び、比較的上の方まで太い姿が特徴のひとつです。


ちいさなちいさな芽生えを見つけました(↑写真)。
やっと芽生えても、明るい森でなければ生き残ることは難しいのだそうです。


近寄ってみると、樹皮の色は、カラマツに似ていました。

もっと近寄ってみると、カラマツよりも少し紫色を帯びています。









  
              
 
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